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Quartetto!

当ブログは、オンラインRPG「エミルクロニクルオンライン」のクローバーサーバーで活動する、 間抜けなキャラクター達の日記とか絵とかまぁあれこれです。

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ツボ少女。


3日連続更新・最終回スペシャル!
二日目「ただ果たすために」
ファクトさんの過去話を描いたSSシリーズがついに今回の一連の更新でファイナル。
3日連続で更新される最終話をお楽しみ下さい!

【注意】
この記事は前日の記事の続きになります。
初めてお読みになる方は前の記事をご覧になってからお楽しみ下さい。




















ツボの中には、少女が入っていた。



綺麗な黒髪は肩ほどまでストレートに伸びており、
簡素な布で作られた白い装束をまとっていた。
首には宝石のあしらわれたネックレスが輝き、大きな瞳は黄色味のある琥珀色。
年にして、10代前半であろうか。幼くも、可愛らしい……
というよりは、不思議な大人っぽさを感じる少女であった。

オレは、完全に予想外のものがツボに入っていたことからか、
口を半開きにしたまま固まってしまっていた。

唐突に訪れた空白の時間を動かしたのは、少女であった。
彼女は眼を一度ぱちくりさせると、


「あ…化け物さんですか?」

「違ェ!」



発した言葉を即座にオレにツッコまれた。










「違いましたか、すいませんでした…!
あの、ここにはもうすぐ化け物さんが来ます。危ないですよ。」


少女は本当にすまなそうにすると、本当に丁寧にそう言った。
オレは、本当に驚いて返事もできない状態だった。
まさか、人間の生贄まで捧げていたとは。
一切村長の話には含まれていなかった。まぁ、言える筈もないのであろうが。


「あの、な。オレはその化け物さんを退治しに来たんだ。」

「え…?」


今度は彼女が本当に驚いている風であった。
いちいち表情がくっきり表れる、可愛い子だなと思った。
いや、しかしだ。
そもそも、この子は何故生贄なんかになっているのだろう。
また、なんでこの状況の中で平然とオレを心配したんだろう。
普通に考えたら、このくらいの年頃の女の子だ。
自分が生贄だと分かっているのなら、泣き喚いていてもおかしくはないのに。


「…お前は、どうしてそんなとこで化け物さんを待ってるんだ?」

「あ、はい。私は……」


彼女は、自分の身の上を、ツボから顔と両手を出して簡単に説明してくれた。
何故だか、その喋り方は驚くほど落ち着いていて、

…とても少女の年相応のものには思えなかった。





「私の村では、私の生まれる前から、毎年子供を一人、
化け物さんにお送りする習慣があります。
ですが、毎年のように誰か一人を選ばなければばいけないのでは、
その女の子の家族や、知り合いが悲しんでしまいます。
ですから、私の村には、あらかじめ化け物さんに送るために、
専用の施設で子供達が育てられているんです。」

「……」

「私達は、本当のお母さんやお父さんを知らされません。
化け物さんに渡すためだけに育てられるのですから、
知り合う人は少なくなければならないからです。」

「……」

「毎年、施設には新しい子が迎えられてきます。
そして、同じように毎年、一人の友達が送られていきます。
今年は、私が一番お姉さんなんです。
私の、自分の役割を果たすときがやってきているんです。」

「……ッ」





なんて、話だろう。
ああいった小さな村が平和に存続していくにはしょうがなかったのかもしれない。
そうでもしなければ、と怯え続けた結果の、哀れな所業なのかもしれない。
でも、だけど。
生贄専用の施設に赤子を毎年、一人入れて。
そこで両親の顔も知らず、自分の役目だけを何回も、何回も繰り返し教え込まれ、
その役目を果たすためだけに生きる子供達が、この村に居るなんて。


「なんて、話だよ…オイ…!」


住民の悲しみを最小限に抑える事は、当然の如く可能であろう。
運悪く赤子を施設に入れることとなってしまう両親は悲しみに暮れるであろうが、
もしかしたら、その子の生まれて来た理由ですら、その目的の為…なのかもしれない。
後は、その子達を成長させる過程で、施設の外の環境との隔離を行えば。
見事な生贄専用の人材供給が可能となるわけである。

最初は抵抗があったのかもしれない。
こんな狂気の発想が通ったのにも、その時の切迫した状況があったからかもしれない。
それでも30年という月日の流れの中で、そういった感覚は麻痺してしまったのだ。
それを続ける事に何も疑問を抱かなくなってしまったのだ。
貢ぎ物として、魔物の生活に無関係な工芸品などを大漁に準備してしまうように…!


「…さぁ、ツボから出て。オレはここで化け物さんを退治するんだから…。」


オレは、震える声で彼女に告げる。
少女はゆっくりと首を横に振って、にっこり微笑んだ。


「出来ません。私は…あっ」








あぶない、うしろ。


彼女の唇がそう動いたのは見て取れた。
が、その声はオレの耳には入ってこなかった。


「ギャエエエエエン!!」

「!…ッが…!!」


オレの後ろに近づいていた体長2mはあるリザードキング。
その太鼓みたいな腕と長く鋭い爪が、オレを真横にふっ飛ばしていた。

物凄い力だ。
オレは峠の広間を横に10mは飛んで、岩の地面にズザーーッと擦り付けられた。
完全に油断していた。心の弱さから来る集中不足だ。
あれだけの気配に気付けないなんて!


「ッ…クッ!!」


脇腹が焼けるように痛い。ひょっとしたらアバラがイッたかもしれない。
しかし、今はそんな事を気にかけている暇は無い。
案の定リザードキングは祭壇のツボ……あの少女のほうへ歩み寄っていた。
少女は、じっと大きな瞳で魔物を見つめていた。


「オイ…逃げろ!食われちまうぞッ!!」


腹から声を張り上げる。
リザードキングがこちらを一瞥したが、すぐまた少女に向き直る。
少女は……こちらを見ようとすらしなかった。
ツボに収まったままで、両手を胸の前で組むと、にっこりと微笑んだ。
そして、










挿絵3



「これが、私の生きた意味なんです」


優しい声で、そう言った。










眼を見開く。身体が一瞬こわばる。
あの魔物に向かって全力疾走しなければいけないのに、勢いが止まってしまった。

何をしてる!
何をしてるんだ!オレ!
助けなきゃいけないだろ!?
オレは英雄だぞ?
なんで止まった!?
違うだろ?
勇者になるんじゃなかったのか!?
勇者は、お前の目指す、勇者は……!!!



























………………………


勇者となるためには、まず自分の中で定めた条件を満たす必要がある。
村から続く街道を闊歩しながら、旅に出る前からいろいろと考えていた事を、
改めておれは頭の中で展開してみることにした。
おれの目指す勇者とは、そうそう簡単になれるような低いハードルでは断じて無い。
様々な自分の考えうる障害や試練を乗り越えてこそ、得られる称号なのだ。
とりあえず、列挙してみよう。足りないと思ったらどんどん付け足せば良い。
おれは紙にメモでも取るような感覚で、頭の中で箇条書きの文章を思い描いた。

 ・勇者とは自分が守るべきものを守れる肉体的な強さを持つ
 ・勇者とは逆境に打ち勝ち、判断力に長けた精神的な強さを持つ
 ・勇者とは強力な武器や防具に関する知識を持ち、自在に扱うことが出来る
 ・勇者とは大きな功績を残し、人々から称えられる経験を持つものである
 ・勇者とは自分自身で誇るものではなく、他人からの評価により存在する


………………………


「元気でね、ファクトくん。勇者になれる事、祈ってるよ。」
「そっちも、幸せな旅をな、クリス師匠!ノエルさんも、元気で!」
「ええ、また会いましょうね!」

本当に感謝してもしきれない。
ここで得たものは、絶対に有効活用してやる…そう心に決めていた。


………………………

















家を出た当時のことが、何故か頭に浮かんだ。


オレは、何のために勇者になりたかったんだっけ。
なんで、勇者に憧れてたんだっけ。
なんで、こんなことして、ボロボロになってるんだっけ。








…決まってる。







自分の手で守れる人を、守るため…
平和じゃない世の中を、平和にするため…
最高に憧れる、最高にカッコイイ存在になるため…!!!









魔物の口が大きく開かれる。
鋭い牙が、彼女の首筋に食い込もうとする。
小さい無垢な命が、目の前で終わろうとしている。







間に合わない?





違ェよ。







間に合わせるんだ!!







挿絵4


「オレは…勇者になるんだァァッ!!」







叫んで、ウリエガノフを振り抜いた。
剣先から、ひときわ大きい斬撃が生じ、魔物に向かって宙を駆ける。
狙いは寸分違わず、リザートキングの首から上が一瞬にして吹っ飛んだ。

一拍おいて、魔物の首があったところから大漁の血が噴出した。
少女は何が起こったかまるでわからない様子で、
目の前の死体から流れ出る血を全身に浴びていた。






…オレは、リザードキングを倒したのだった。







(中編終わり)

ギャエエエエエン!!
連続更新ここまで来るとは… いやはや…
え?すぐ終わると思ってただろ?いやいや~信じていましたよwwそんな、あは、まさかあははははははh
何はともあれ、ファクトさん勇者への第一歩この姿をライさんは受け継げるのか!?

2008.11.19 04:29 URL | 詩祈 #- [ 編集 ]

ギャエエエエエン!!

連続更新はもはや意地です。
こうして一人で騒いでいるだけでも、
ECOのサイト全体にほんの少しでも
「勢い」を取り戻せればと思っている次第です。

詩祈さん、本気の私は違うんですよ。(見下ろしながら/失礼)
ともかく、最終日もお楽しみいただければ幸いです。

2008.11.19 18:53 URL | ライ #vitxglkA [ 編集 ]













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